Paperbacks - 第三次世界大戦―チーム・ヤンキー出動（ハロルド・コイル）

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第三次世界大戦―チーム・ヤンキー出動

ハロルド・コイル著／小関哲哉
二見文庫(コ2-1)、1988年12月25日発行
ISBN-13: 9784576881461
ISBN-10: 4576881469 C0197

もしも第三次世界大戦が勃発したら？という設定。核戦争が起きるという触れ込みがあるものの、ネタバレが許されるならば核兵器は終盤にちょっと出てくるだけ。本書はもっと平凡な、現場の戦士たちの行動を忠実にシミュレーションした作品といえる。

戦車隊長の主人公バノンは大隊の作戦命令と部下との間に苦悩しながらも進軍を行っていく。途中の戦いは運任せとも思える展開で勝利していく。戦場モノとしては評判があるようだが、リアリティはあるものの、忠実すぎる展開には少し退屈に感じるところもあった。

戦争モノというと派手な戦闘シーンやスパイ活動、政治的策略が想像されるが、本書にはそういう描写はあまりない。戦場なので戦闘はあるし、その部分の描写は忠実で実際の戦車戦はそうなのだろうと想像をかき立てられる。兵士たちは戦車を潜ませ、敵よりもより有利により安全に戦いを運んでいくために労を惜しまない。だが、それはワクワクしたり興奮したりするような戦場ではない。おそらく、戦場とはそういう現実的なやりとりが四六時中繰り広げられている場所なんだろうと思う。特攻なんてもってのほか、死を覚悟した兵士なんていないのだと思い知らされた。

本書はジョン・ハケット著「第三次世界大戦」の設定を含んでおり、その世界での戦士の視点で描かれている。設定元の小説を合わせて読んでみると、より面白くなるのかもしれない。私はまだ読んでいないけれども。

(2010.12.06)

内容
第三次世界大戦勃発！　西ドイツ駐留NATO軍に出動命令が下った。バノン大尉率いるチーム・ヤンキーは、最前線でワルシャワ条約機構軍と対峙していたが、苦戦に業を煮やしたソ連軍は、ついに核の投入に踏み切った。全面核戦争に突入すれば、人類は破滅する。兵士の間に、焦りと不安が募っていった……。戦火のヨーロッパを舞台に、自由と正義を守るために、命を賭けて戦う男たちの魂を描いて全米を熱狂させた傑作戦争アクション！