Paperbacks - 人の砂漠（沢木耕太郎）

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オススメ度：3
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人の砂漠

沢木耕太郎著
新潮文庫(さ-7-1)、1980年12月25日発行
ISBN-13: 9784101235011
ISBN-10: 4101235015 C0195

沢木耕太郎といえば小説「深夜特急」が代表作であるが、新潮文庫の1冊目である本作品から読んでみようという魂胆で手に取った。

色々なところを旅行していると、ふとそこに住んでいる人たちがどのような生き方をしているのか、そしてどのようにしてここへ辿り着いたのか、知りたくなってくることがある。私はライターじゃない旅行者だから、それを知ることはない。無理に他人の土俵に上がることも憚られる。

沢木という人は、その誰もが入らない住人の世界に飛び込み、人を取材した。この本に収められている人々は、本当に実在している組織や人間たちである。（氏名がそのままなのかどうかはちょっとわからないが）生き方からして、歴史に残ることもなさそうな人たちが、作者によって永遠の命を得た。例えば江戸時代の庶民生活を知る文献などのように、この本もまた貴重な時代の記録になると思う。

私としてはこの一冊で沢木耕太郎がずいぶんと好きになった。

(2010.08.31)

内容
一体のミイラと英語まじりの奇妙なノートを残して、ひとりの老女が餓死した――彼女の隠された過去を追って、人の生き方を見つめた「おばあさんが死んだ」、元売春婦たちの養護施設に取材した「棄てられた女たちのユートピア」をはじめ、ルポルタージュ全８編。陽の当らない場所で人知れず生きる人々や人生の惨敗者たちを、ニュージャーナリズムの若き担い手が暖かく描き出す――。