Paperbacks - 天使の卵　エンジェルス・エッグ（村山由佳）

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オススメ度：3
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天使の卵　エンジェルス・エッグ

村山由佳著
集英社文庫(む-5-1)、1996年06月25日発行
ISBN-13: 9784087484922
ISBN-10: 4087484920 C0193

「無茶苦茶せつない小説が書きたい」。新人賞の受賞のことばで作者が言ったように、とにかくこの小説の中では一人の人間（一本槍歩太）ががむしゃらに生きていると感じた。と同時に、人間はなんて切なく物悲しい生き物なんだろうと。

世界中のすべての人々には、一つずつ、物語がある。その中で、人に出会い、人と別れる。長く一緒に居たいと思った人と結婚して暮らし始める。でもそれは永遠ではない。早いか遅いか、別れ方にもいろいろあるけれど、何れ、その二人は離れることになる。そのとき、それぞれの主人公は何を思い、どうしていくのだろう。

この小説の主人公・歩太は、物語が終わった後、また別の人と恋をして、生きていくのだろう。そのときに心の中にある複雑な、割り切れなさをどう抑えていくのか。いま幸せな人も、独りの人も、深く考えさせられる小説だと思う。

(2007.10.01)

内容
そのひとの横顔はあまりにも清冽で、凛としたたたずまいに満ちていた。19歳の予備校生の“僕”は、8歳年上の精神科医にひと目惚れ。高校時代のガールフレンド夏姫に後ろめたい気持ちはあったが、“僕”の心はもう誰にも止められない。第６回「小説すばる」新人賞受賞作品。みずみずしい感性で描かれた純愛小説として選考委員も絶賛した大型新人のデビュー作。