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オバマ・ショック

オススメ度:2
★★☆


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オバマ・ショック

越智道夫・町山智浩
集英社新書(0477)、2009年01月21日発行
ISBN-13: 9784087204773
ISBN-10: 4087204774 C0236

劇的な人気で選出されたオバマ米大統領。就任演説は世界に報じられ、翻訳本も多数出版された。本書もオバマブームの便乗本の一つのようだ。端的に言うと、本書は殆どがオバマ政権とは直接関係ないアメリカ政治の歴史を対談で語っているだけの本である。最終章でわずかにオバマ政権への期待と懸念が語られているという原価としては「安い」本だと思う。もう一つ、対談は映画好きな2人のようで、始終アメリカ映画が話題にあがる。アメリカの現実を語る上での事例として挙げる場合は分からないでもないが、映画トークになってしまっている部分もある。

だからとって、本書を読むに値しないかというと、そうでもない。私はアメリカの共和党と民主党の政策の違いそれほど分かっていなかった。保守とリベラルとはどういうことか。アメリカは基本が自由主義であるから、保守というのは「自由を保守する」という意味合いになる。それが共和党。一方の民主党は平等の上に自由があるという主義なんだそうだ。だから民主党の方が市場に対する規制が課されやすい。

ところで、平等とはなんだろうか。アメリカンドリームという夢を実現するために多数の移民がやってくる彼らは希望を持ってアメリカにやってくるけれども、現実は差別や格差に苛まれる。だが、自国にとどまっているよりまマシなのだ。格差とは何かと比べて初めて見えてくるもの。日本でも格差社会と言われているが、あのホリエモンなどITベンチャーがチヤホヤされていた時代に強調されるようになってきた。要するに成金と比較して自分たちは格段に下に位置していると。それが今は派遣が格差を訴えている。正社員と比べて下に位置していると。それは事実であるが、格差だけを見つめていても現実は良くならない。

もう一つの現在の論点として、金融がある。本書でもサブプライムローンの背景を具体的に語っているが、行き場を失った資金が住宅市場に流れ込んだのがサブプライムローンの始まりだ。アメリカは製造業がボロボロだから住宅産業に資金が集まる。必然的に集まった投資先なのだ。住宅バブルははじけたが、投機資金はまた別のものに集まるのだろう。

最後にオバマ政権について語っている。オバマ大統領はアメリカが出した起死回生の答えに他ならない。だから、失敗は許されないきわどい立場にある政権といえる。一方で、初の黒人大統領という希望もある。これが「黒人大統領はダメだ」という世論になることを懸念している。オバマ大統領がどんなショックを起こすのか、注視する必要があると締めくくっている。

(2009.02.22)
内容
史上初の黒人米国大統領に就任したバラク・オバマ。疲弊する大国は、なぜいま、彼を選んだのか? 覇権国家の衰退を歴史軸で考察する研究者(越智)と、合衆国を駆け巡るフィールドワーカー(町山)が、岐路に立つアメリカの過去・現在・未来を縦横無尽に語り合う。サブプライムローンの“現場”やハリウッド空洞化の実情など、アメリカが陥った病の症例を容赦なく暴き出し、多様な人種がオバマを「支持」した理由を明らかにする!

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