Paperbacks

トップ - 本棚 - aritel.net

三国志(八)

オススメ度:3
★★★


購入リンク

amazon.co.jp
amazonで買う

合計1500円(税込)以上で送料無料

bk1
bk1で買う

合計1500円(税込)以上で送料無料

楽天ブックス
楽天で買う


1冊では送料がかかる場合があります。他の本も合わせて購入をオススメ。

三国志(八)

吉川英治
吉川英治歴史時代文庫(40)、1989年05月15日発行
ISBN-13: 9784061965409
ISBN-10: 4061965409 C0193

戦争は普通、兵力と兵力の戦いのように思われている。だが、三国志の中で描かれる戦闘は、もちろん大軍を並べた方が優勢に見えるが、知略の勝る軍が勝ち残る。だから、いつも兵法を学ぶ。当時の学問とはそういった如何に戦争を有利に導くかということだったのだろう。

孔明はその多くを知っていた。だから、連戦連覇で何一つ領土を持たなかった玄徳を一国の皇帝にまで導いた。孔明ははじめ、このような国家間の争いごとに興味がなかった。玄徳が三顧の礼をもってまで説得する姿を見て、彼のために力を尽くそうと誓って時代舞台に立った。

その孔明はいつしか、魏を倒すことが目的となって働くようになった。もちろん、玄徳も蜀を脅かす敵が魏であることを知っていたから何度も攻撃を仕掛けたが、巨大な魏に太刀打ちできずに世を去った。その遺言を受けてか、孔明も自身が生きているうちに魏を倒しておくことに執念を燃やした。だが、やはり大国である魏に対しては防衛線を維持するのがやっとというところであった。これには軍備もさることながら、有能な武将を持てなかった不運もある。

それでも、孔明が亡き後に30年近くも蜀が存続できたのは、孔明の人を見る眼が良き官吏を配して去った「孔明の護り」があったからだと吉川栄治自身が作中に書いている。

三国志は、魏・呉・蜀のそれぞれの興亡を、3つの国の国史から編纂したものだから、本来ならどの国が善、どの国が悪ということはない。中国の三国志演義では魏が主人公となることも多いらしい。吉川栄治はここで蜀、とくに玄徳と孔明の人生を描くことで「三国志」を作り上げた。

人は誰でも志を持って生きている。そして、死んでいく。その僅かな時間にどんな人にも人生がある。2人の主人公はそれぞれ少しずつ異なった人生観で生きていたが、どちらもすばらしいと思う。そんな心境で、自分自身は、もって生まれた意義が何かをまだ、見出せていないような気がしている。

(2009.11.30)
内容
曹真をはじめ多士済々の魏に対して、蜀は、玄徳の子劉禅が暗愚の上、重臣に人を得なかった。蜀の興廃は、ただ孔明の双肩にかかっている。おのが眼の黒いうちに、孔明は魏を叩きたかった。――かくて祁山の戦野は、敵味方五十万の大軍で埋まった。孔明、知略の限りを尽くせば、敵将司馬仲達にもまた練達の兵略あり。連戦七年。されど秋風悲しき五丈原、孔明は星となって堕ちる。

Copyright © 2002-2003,2007,2009,2010,2014,2015 Aritel. All rights reserved. Ver 1.11. edit.