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オススメ度:3 ★★★
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| 涼宮ハルヒの憂鬱
谷川流 著 角川文庫(S168-1; 12957)、2003年06月10日発行 ISBN-13: 9784044292010 ISBN-10: 4044292019 C0193
| この作品はアニメ化されて、そのテレビ放送で出会った。あまりの面白さに一瞬でハルヒの世界にはまっていたが、どこかに、何ともいえない違和感を感じた。その理由は後半でのハルヒの発言にあった。
「あたしが世界で一番楽しいと思っているクラスの出来事も、こんなの日本のどこの学校でもありふれたものでしかないんだ。日本全国のすべての人間から見たら普通の出来事でしかない」。多分、僕も同じことを思ったことがある。そして、「そう気付いたとき、あたしは急にあたしの周りの世界が色あせたみたいに感じた」。心の中にあったモヤモヤしたものを代言してくれたような一節を読んだとき、爆発した気がした。そう、この世は色あせている。
普通に思われるより、変な奴と思われた方が面白いと思っているし、小説ほどの奇行は無いけれど、面白いことをやってきた。そうやって、今、会社員になっている。きっとその面白いことも全体的には普通な部類に入っていたのかもしれない。嗚呼、人生とは何と平凡なものか。
キョンとハルヒの対極的な思想は、日本人のすべてがそのどちらかに分類されるのだろうと思われるが、常識的なキョンを演じる人が思いのほか多いだろうことは想像に難くない。しかし、現実にはハルヒのような「面白い」人生を歩みたいと思う人は過半数を超えるのではないか。だからこの作品はヒットした。そういうことだろう。
ただ、現実問題としてハルヒはずっと憂鬱だしイライラしている。それはこの世の既製品が何もかもつまらないものに見えていて、その上で「普通じゃなくて面白い人生」を送らないといけないという強迫観念に襲われているからだ。そういうことなんだ。発明家みたいなもんだけれど、発明するのは物じゃなくて人生。けっこう辛いんだ。
でもな、面白いことなんてそうそう転がっているものじゃないんだ、とキョンは諭すかもしれない。面白いことをするには、普通を捨てないといけない。普通とは大衆的で無難で、安全で楽であることで、それを捨てるとは世捨て人のようなもんだ。それはそれで憧れるところなんだろうけど、やってみるのは怖いものだ。
そうやって、99%の日本人は普通な生活を送っている。普通な中にも面白いことはたくさんあるし、追い求めるものもあるのだろう。でも僕は、やっぱり普通とは違った面白いものを期待している。いつもイライラして、色あせていない、目が輝くような何かがないか、不思議探しをしてみたりもする。ハルヒ的だろうか?
(2007.04.01)
内容 「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」。入学早々、ぶっ飛んだ挨拶をかましてくれた涼宮ハルヒ。そんなSF小説じゃあるまいし……と誰でも思うよな。俺も思ったよ。だけどハルヒは心の底から真剣だったんだ。それに気づいたときには俺の日常は、もうすでに超常になっていた――。第8回スニーカー大賞<大賞>受賞作、ビミョーに非日常系学園ストーリー! |
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